地盤調査では、建物を建てる際にその土地の強度や液状化のリスクをチェックします。地盤の状態は、建物の安全性の確保のためにも大切です。本記事では、地盤調査ができるタイミングや、調査にかかる期間について詳しく解説します。地盤調査の依頼を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
地盤調査を始められるタイミング
地盤調査は、基本的には土地を購入した後に実施することができます。ただし、現在の土地所有者である売主が以前に実施した地盤調査報告書を保管している場合もあります。その場合は、購入前にその内容を確認させてもらえる可能性があるので、売主に相談してみるとよいでしょう。
土地が売主の所有物である間は、売主の許可がなければ地盤調査を行うことはできません。仮に許可が得られても、調査にかかる費用の負担について明確に取り決めをしておかないと、後にトラブルになる可能性があります。土地の購入前に地盤調査を実施したい場合は、調査費用の負担や許可取得について慎重に対応しましょう。これにより、購入後に予期せぬ問題が発生するリスクを減少させられます。
地盤調査にかかる期間
地盤調査の期間は、調査方法や土地の特性によって異なります。調査方法は主に以下の3つです。それぞれにかかる期間を見ていきましょう。
スクリューウエイト貫入試験
スクリューウエイト貫入試験は、主に一戸建て住宅の地盤調査に用いられます。この調査にかかる時間は半日程度です。
ボーリング調査
ボーリング調査は、マンションや規模の大きな建物に適用されます。調査期間は土地の状況や建設する建物によってまちまちで、数日から数週間程度かかります。
表面波探査
表面波探査は、比較的軽い戸建て住宅の建設時に使用されます。調査時間は2〜3時間程度で済むので、急ぎの場合も安心です。
調査期間は一律で決まっていない
上記で紹介した3つの調査に必要な期間は、土地の性質や調査深度によって所要時間が変わります。また、調査自体は短期間で終わる場合が多いですが、調査結果のレポート作成には時間がかかることがあります。結果の確認を急ぎたい場合は、その点も含めて調査会社に確認しましょう。
地盤調査の流れ
地盤調査は、間取り決定、調査申し込み、現地での地盤調査、調査結果の報告の順番で行われます。調査は建物の条件が決まった段階で行うことが多いですが、建物の設計がまだ検討中の場合でも実施されることがあります。間取りを変更した場合には再度調査が必要になることもあるので、調査のタイミングや費用については事前にしっかり確認しましょう。
地盤調査結果が出た際にチェックするポイント
最後に、地盤調査結果が分かった時にチェックすべきポイントについて、スクリューウエイト貫入試験をもとにして解説します。
盛土がされているか
土地が田んぼや畑などの場合、建築用に土を盛ることがあります。この作業を盛土と言います。スクリューウエイト貫入試験では、盛土がされているかどうかを確認可能です。
盛土は地盤の上に重い土を加えるため、家を建てる際の重要なチェック項目となります。盛土の有無を確認することで、地盤の強度や安定性に対する適切な対策が立てられるでしょう。
換算N値
スクリューウエイト貫入試験では、地盤の強度を表す「換算N値」を測定します。これは地盤の25㎝ごとの強度を数値化したもので、ボーリング調査で使用される「N値」に準じています。
換算N値が大きいほど強度のある地盤を示しますが、地盤の強度だけでなく他の数値項目も考慮して地盤改良工事の必要性を判断しましょう。単にN値が高いだけでは安心できないので、総合的な判断が求められます。
自沈層の有無
自沈層とは、重りの重さのみで自然に沈んでしまう層のことです。スクリューウエイト貫入試験では、50Nニュートンから1,000ニュートンの重りを使用して、自沈層の有無を確認します。
自沈層が存在する場合、その部分の地盤はとくに弱いため、地盤補強対策が必要です。自沈層の有無を確認することで地盤全体の強度と均一性を把握し、適切な対策を講じることが可能となります。
土質の判定
地盤の土質は、地盤の強度や安定性に大きく影響します。スクリューウエイト貫入試験では、土の粒度に基づいて土質を判定します。粘性土、砂質土、礫質土など、さまざまな土質があります。
換算N値が同じでも土質が異なると地盤の強さが変わるため、土質の判定は重要です。地盤補強を行う際には、土質に応じた最適な方法を選ぶために土質の判定が必要です。
地盤の傾斜や高低差の把握
地盤が均一でない場合、同じ敷地内でも強い地盤と弱い地盤が混在することがあります。また、強い地盤でも傾斜がある場合があります。スクリューウエイト貫入試験では、地盤の傾斜や高低差もチェックポイントとなります。地盤の均一性を確認することで建物の安定性を確保し、必要な対策を講じることができます。
地盤が弱いという結果が出たら
地盤調査の結果、地盤が弱いと判定された場合、地盤改良工事を行う必要があります。地盤改良工事を行わないと、住宅の基礎や外壁にひび割れが生じたり、建物が傾いたり沈んだりするリスクがあります。
住宅を建てる会社に相談し、どのような地盤改良工事が必要かを確認しましょう。地盤改良工事にはさまざまな方法があるので、具体的な対策は地盤の状態に応じて決定されます。
まとめ
地盤調査は、土地の強度や液状化リスクを確認し、建物の安全性を確保するために欠かせない工程です。基本的には土地購入後に実施されますが、売主の許可があれば購入前でも可能です。調査方法によって期間は異なり、スクリューウエイト貫入試験は半日程度、ボーリング調査は数日から数週間、表面波探査は2〜3時間程度かかります。結果を急ぐ場合は、レポート作成期間も考慮しましょう。
調査結果に基づき、必要な地盤改良工事を行うことで、建物の基礎や構造の安全性を確保できます。地盤調査を怠ると、将来的な修繕費用や安全性に影響が出るため、確実に実施することが重要です。
