建物の建築前には、地盤調査の実施が必要不可欠です。地番が弱い地域に住宅を建ててしまうと、家が傾いてしまったり地盤沈下のリスクも高まります。
調査を実施する会社は多くありますが、中には改良不要にもかかわらず工事を推奨された、反対に改良工事が必要といわれたが充分な根拠が示されないなど調査内容に納得がいかないケースも出てきます。
今回は地盤調査に納得いかない場合の対処法や費用を安く抑える方法を紹介します。
地盤調査に納得いかなければセカンドオピニオンがおすすめ
地盤調査の結果に納得がいかなければ、セカンドオピニオンの実施がおすすめです。本来、医療分野において専門的な知識を有する第三者に意見を求める行為やサービスを指す言葉ですが、これは地盤調査においても推奨されています。
セカンドオピニオンを受けられるハウスメーカーや建設会社は数多く存在するため、業界での活動実績が長い会社、地盤調査の経験が豊富で信頼性の高い会社などさまざまな観点から最適な相談先を探しましょう。
セカンドオピニオンの必要性
なぜ第三者による意見や調査が必要となるのか、それは地盤調査の結果が一社のみで確実だとは必ずしもいい切れないからです。
地盤調査を請け負う会社はもちろんプロとして調査を進めてくれますが、さまざまな要素をもとに行われる調査のため、見落としがあったり、その会社独自の基準で判断されたりする箇所がほかの会社からすればアウトとなる可能性もゼロではありません。
地盤調査、およびその後の改良工事には費用も期間もかかるため、納得のいく慎重な決断を下すために第三者の意見をうかがうのはとても重要な要素になります。
工事有無の判定が変わる可能性も十分にある
第三者の調査結果によっては、その後の改良工事有無の判断が変わることもあります。第三者の目線で客観的にデータを解析した上で工事有無の判断を下してくれるため、その信頼性も高いです。
悪徳な建築会社がいるのも事実
地盤調査は、その後の地盤改良工事を受注する業者がまとめて実施するのが一般的です。しかし、本来工事が必要のない調査結果が出たとしても、工事を推し進めて利益を得ようとする悪徳業者がいるのも事実です。
このような業者が推し進める工事を受けてしまうと、無駄な費用の発生はもちろん、住宅完成までのスケジュールも大幅に長引いてしまいます。利益を優先する悪徳業者のビジネスに巻き込まれないためにも、地盤調査について第三者にも分析や意見を求めることはとても重要となっています。
セカンドオピニオン実施の具体的なメリット
セカンドオピニオンを実施すると、具体的には以下のようなメリットを得られます。いずれも住宅建設を進めるにあたって大切な要素でもあるため、後悔のない取引にするためにも把握しておきましょう。
不要な工事を回避できる
地盤調査の結果次第で以降の地盤改良工事へと進みますが、結果に納得がいかずセカンドオピニオンを実施して判定が変われば、不要な工事を回避できます。改良工事が入ると、それだけ住宅建設完了までの期間も長くなってしまいます。
不要な工事を回避することで結果的に全体の工期も短くできるため、少しでも早く家を建てたい方にとっては大きなメリットです。また、改良工事で地盤補強のために使われるセメント固化材は六価クロム発生のリスクもあるため、工事を行わないことは人体や環境を守ることにもつながります。
本来必要な地盤改良工事を受けられる
不要な工事を回避できることとは反対に、本来改良工事を受けるべき地盤であった場合も、第三者の調査によって受けられるようになります。
改良工事が不要と判断された場合、費用やスケジュール面で見ても確かにお得な部分はありますが、住宅を建てた後に地盤の不備が見つかると取り返しのつかない事態となってしまいます。
この事態を避けるためにも、本当に工事が必要ないのかを第三者に調査・判定してもらうことは非常に重要です。地盤改良工事が必要と判定されたのであれば、施工してもらいその後の住宅での生活を確実に安全なものにしましょう。
無駄な費用を発生させない
セカンドオピニオンによって改良工事が不要と判断されれば、浮いた工事費の予算を住宅建設の費用にあてられます。無駄な費用を抑えつつ、住宅建設に関する有意義な費用の使い道が生まれるため、これは大きなメリットだといえるでしょう。
地盤改良の工事にかかる費用は決して安い金額ではありません。マイホーム購入や家具購入などで費用がかかっていく中、無駄な費用を抑えられるのはその後の生活にとっても重要です。
工事の有無を慎重に判断するためにも、セカンドオピニオンでの地盤調査は非常に重要な役割をもちます。
地盤調査・改良工事の費用を抑える方法
セカンドオピニオンを実施することで地盤調査の費用を結果的に抑えられますが、その後の地盤改良工事も含めて費用を抑える方法はほかにもいくつかあります。かかる費用の内訳や仕組みを理解しておけば大幅なコストカットも可能なため、安心できる住宅建設を予算を抑えつつ実現させたい方は覚えておきましょう。
自身が率先して動くことで予算を抑えられる方法が多いため、費用面で後悔しないためにも余裕をもって以下の手段に取り組んでみてください。
地盤の強い土地を探す
地盤改良の必要がない地盤の強い土地を探すことで、結果的に改良工事をしなくて済み、無駄な費用を抑えられます。周辺の住宅に傾きやひび割れがないか、過去に地盤沈下が起きたことがないかなど、自身で調べられる方法もいくつかあります。
ハザードマップで液状化のリスクについて調べてみるのもよいでしょう。どうしてもこの土地がよいというこだわりがないのであれば、地盤の強い土地を優先的に選ぶことで工事費の発生を抑えられます。
相見積もりで費用を比較する
地盤改良工事にかかる費用は、たとえ優良業者であってもそれぞれで違いはあります。そのため、依頼した業者が必ずしも相場に見合う費用か分からず、結果的に損をする取引になってしまうケースは少なくありません。
そのため、複数社に相見積もりを取るのがおすすめです。同等の条件を出して見積もりを作成してもらう相見積もりでは、業者ごとの費用やサービスの詳細をまとめて比較できます。
相見積もりは業者に対して失礼ではという考え方もありますが、自身が損をしないためには欠かせない工程です。住宅建設のスケジュール的に余裕がある場合は、事前に相見積もりを進めて費用を安く抑えられる業者を探しましょう。
ほかの工事費用の減額を相談する
地盤改良工事にかかる費用ではなく、住宅建設にかかるその他工事費用を減額してもらうことで、結果的に全体の費用を安く抑えることも可能です。ハウスメーカーに予算や地盤改良工事の必要性について相談することで、ほかの工事費用を減額する方向で動いてもらえるケースもあります。
もちろん減額が難しい工事もありますが、相談することで損はありませんし、少しでも削減できる費用があればそれだけお得です。悩み事は取引をしているハウスメーカーに何でも相談して、後悔のない住宅建設を進めましょう。
まとめ
地盤調査に納得いかない場合の対処法、および費用を抑える方法について紹介しました。地盤調査は住宅建設において欠かせない工程のため、その土地で暮らすことになる自身や家族にとって、安心で納得のいくものにしたいです。
調査結果に少しでも不安な点が見られる場合には、自分たちの生活を守るためにもセカンドオピニオンを実施しましょう。調査結果の正当性を第三者の専門家にも評価してもらうことで、無事同じ結果となれば安心して以降の地盤改良工事に進むことが可能です。
地盤調査や地盤改良の工事費用を抑える方法はそのほかにもいくつかあるため、並行して実践しながら後悔のない住宅建設を進めてください。